Blender入門

Blenderとは

Blenderとはオープンソースの統合型3DCGソフトウェアです。開発の歴史は古く1998年に始まります。初期リリースの後、紆余曲折がありオープンソース化して現在では、BlenderFoundation(https://www.blender.org/)が開発を担っています。オープンソースなので無料ですが、コミュニティーは非常に活発でオープンが故に頻繁にアップデートも行われています。また、様々なプラグインも開発されています。統合型3DCGソフトウェアであるため、3D制作に必要な機能(メッシュ、カーブ、スカルプト)、テクスチャペイント、レンダリング、スクリプト編集(Python)、ノードベースのコンポジット機能や動画編集機能、2Dアニメーションの制作機能まで装備されたソフトウェアとなっています。有志により日本語化も行われています。

日本公式

BlenderとMayaどっち?
現在の3DCGソフトの業界標準はAutodesk社のMayaになります。Mayaは多機能かつ長年ゲーム業界や映像業界で培ってきたノウハウがあり、人材も実績もあります。Blenderは無料という導入の敷居が低いことから、趣味やフリーランス、中小の制作事務所の導入が多いので利用者やコミュニティーが活発です。

2019年にリリースされたBlender2.8系は以前の2.7系よりもユーザーインターフェース(UI)が大きく変わったバージョンになります。機能面でもリアルタイムレンダリングエンジンEeveeの採用やスカルプト機能、グリースペンシルなど搭載されました。スカルプト機能に関しては非常に使い心地がアップしており、造形用のツールとして完成したように思わせるほどです。

グリースペンシルは3D版のAdobe Animateに近いツールです。2D、3Dを橋渡しできるアニメーションツールとしての存在感があります。

Blenderでできること

Rendering

EeveeやCyclesによる超リアルなレンダリングが可能です。

Modeling

モデルの作成、変換、スカルプト、編集を缶単位行うことができます。

Sculptiong

スカルプトとは、スカルプトモードから、色々なブラシを使ってモデルを作成していくことができます。オブジェクトを彫るようにしてモデルを作成していくことができます。

Animation & Rigging

Blenderのアニメーション機能は次の機能を提供しています。

  • キャラクタアニメーションポーズエディタ
  • 独立した動きのための非線形アニメーション(NLA)
  • 高度なポーズのためのIKフォワード/インバースキネマティクス
  • サウンド同期

Blenderは次のリギングツールを提供しています。

  • エンベロープ、スケルトン、自動スキニング
  • 簡単なウェイトペインティング
  • ミラー機能
  • 組織のボーンレイヤーと色付きグループ
  • Bスプライン補間ボーン

Grease Pencil

ストーリーボーダーや2Dアーティストのための卓越したワークフロー

  • ビューポートで2Dや3Dを組み合わせることができます。
  • オニオンスキニングによる完全なアニメーションサポート
  • ブラシストロークから3Dオブジェクトにスカルプトすることができます。

VFX

カメラ&オブジェクトモーショントラッキングからマスキングや合成を行うことができます。

Simulation

崩壊する建物、雨、火、煙、液体、布のシュミレーションを実現します。

Pipeline

Blenderには多くの異なるプログラムのインポート/エクスポートがサポートされています。

  • イメージ:JPEG、JPEG2000、PNG、タルガ、OepnEXR、DPX、シネオン、ラディアンスHDR、SGIアイリス、TIFF
  • ビデオ:AVI、MPEG及びクイックタイム
  • 3D:アレビック、3Dスタジオ(3DS)、COLLADA(DAE)、フィルムボックス(FBX)、オートデスク(DXF)、ウェーブフロント(OBJ)、DirexctX(x)、ライトウェーブ(LWO)、モーションキャプチャ(BVH)、SVG、スタンフォードPLY、STL、VRML,VRML97、X3D

VideoEditing

Blenderにはビデオシーケンスエディタが内蔵されており、ビデオのカットやスプライングなどの基本的な操作や、ビデオマスキングやカラーグレーディングなどのより複雑なタスクを実行できます。

  • ライブプレビュー、輝度波形、クロマベクトルスコープ、ヒストグラム表示
  • オーディオミキシング、同期、スクラブ、波形の視覚化
  • ビデオ、画像、オーディオ、シーン、マスク、エフェクトを追加するための最大32スロット
  • スピードコントロール、調整レイヤー、トランジション、キーフレーム、フィルターなど

公式マニュアル

Blender 4.2 リファレンスマニュアル

Blender 4.0 リファレンスマニュアル

フリー素材サイト

ambientcg.com

PBR(フィジカルベースドレンダリング)テクスチャ配布サイトです。ライセンスは全てCC0で、無料で自由に使えることを謳っています。

polyhaven.com

高品質のHDRI、テクスチャ、モデリングデータ素材が揃えられています。マテリアル設定済みのBlenderファイルがダウンロードできるので大変参考になります。

textures.com

無料と有料のテクスチャやHDRI画像が配布されています。

free3d.com

無料の3Dモデルが数多くストックされています。

turbosquid.com

メジャーな3Dモデルの販売サイト。無料のモデルも数多くストックされています。

blendermarket.com

Blenderの有料アドオンや有料アセットなどの販売サイトです。

builder.blender.org/download

ディリービルドではBlenderの開発バージョンの入手が可能です。開発途中のバージョン使用ではリスクの覚悟も必要ですが、開かれたオープンソースだからこその開発版リリースです。

ショートカットキー

よく使うショートカットキー

3Dファイル形式

3Dデータには様々なファイル形式が存在します。基本的には「.blend」で保存すれば問題ありません。受け渡しなどに使用したりと3Dファイルを作成して扱うには様々な形式があります。他のソフトとのファイル交換などで迷った場合は「FBX」形式を利用しましょう。

拡張子概要
.mb、.ma、.3dsAutodesk社のソフトウェア、Mayaや3dsMAXのファイルです。
.objWavefront Technologiesが開発した古くからある形式の1つです。
.stl3Dプリンターで出力するファイル形式としては現在最も普及しています。

以下はファイル交換にお勧めの形式

拡張子概要
.fbxFBXは古くからある形式ですが、現在3DCGデータの受け渡しのための標準となります。色、UV、アニメーションなどのデータが保持されています。
.glb、.gltfglTFは新しい3DCGデータの汎用フォーマットです。将来的に広まる可能性もあります。(glbはテクスチャを同梱できるバイナリファイルです。)
.daeColladaフィルはPlayStation3用に作られた形式です。比較的新しく高機能で3DCGデータの受け渡しにも利用されています。

3D制作ワークフロー

一般的には下記のフローで3D制作を行います。さらに実際の現場ではカメラやライトの設定を初期に行い、モデリングやテクスチャのクオリティを決めるといったこともします。

3D制作ワークフロー図

Blenderの初期設定

インストール初期時に行う環境設定について解説しています。

Blenderの基本操作

画面構成

インターフェースの名称と役割について解説しています。

インターフェースのカスタマイズ

Blenderではインターフェースの画面配置を各自使いやすいように変更することが可能です。エリア操作や四分割表示に関して解説しています。

Blender空間の座標系(グローバル)

Blenderの3D空間の座標は、X・Y軸が平面(-Yが前)、Z軸が高さ方向になります。他の3Dソフトに慣れている人は座標系の違いに注意が必要です。

Blender座標解説図

グローバル座標とローカル座標

Blenderでは、デフォルトでグローバル座標に設定されており、左右がX軸(赤色)、奥行がY軸(緑色)、下がZ軸(青色)となります。グローバル座標は、シーンの3D空間を基準とした座標となり、シーン内にあるすべてのオブジェクトにとって共通です。対してローカル座標は、個々のオブジェクトを基準とした座標となり、オブジェクトを回転するとローカル座標も連動して変化します。

座標の切り替えは、3Dビューポートのヘッダーにある[トランスフォーム座標系]メニューで行うことができます。

座標系の変更方法

3Dカーソルとは

自由に移動可能なオブジェクトから独立した3D座標点です。Blenderで最も特徴的なインターフェースの1つです。3Dカーソルの位置を変更していない場合は、ワールド座標の位置にあります。

3Dカーソル

ヘッダーメニュー→オブジェクト→原点を設定→原点を3Dカーソルへ移動による原点の移動やトランスフォームのピボットポイントなどに使用されます。

  • 3Dカーソルは、立方体や円柱など、新しいオブジェクトを作成する時、3Dカーソルの位置に作られます。原点に作ると作業しやすいので、カーソル→原点を頻繁に使用します。
  • 回転や拡大縮小の中心点にできる。一時的に回転中心を変えたい場合、3Dビューのヘッダーからピボットポイント(中心位置)の切り替えができます。
  • 原点の移動に使える。ピボットポイントが3Dカーソル以外のときは、各オブジェクトの原点を中心に回転します(関節部など)。原点の位置を設定するときに3Dカーソルを利用することができます。
3Dカーソルを回転の中心に設定
3Dカーソルを回転の中心に設定

3Dカーソルがワールド原点に移動させる場合は、3Dビューウィンドウ上で「shift+S」を押して、パイメニューを表示させ「カーソル→ワールド原点」を左クリックします。

3Dビューポート内の操作

Blenderの画面内を移動してオブジェクトをどの方向、距離からでも自由に見れるようにビューポートの操作方法について解説しています。

オブジェクトモードと編集モード

Blenderで3Dオブジェクトを扱う場合「オブジェクトモード」と「編集モード」を理解することが大事です。「オブジェクトモード」とは選択している対象がメッシュ構造を変えずに、位置、角度、単純な拡張などが可能なモードです。特定の処理を行う場合には「オブジェクトモード」でなければと言った誓約が発生することもあります。「編集モード」は対象の要素を個別に操作可能モードで、最も一般的な例としてはシェイプにおける「頂点」「辺」「面」を編集できる状態です。

オブジェクトモード
「オブジェクトモード」
編集モード
「編集モード」

オブジェクトモードと編集モードの切り替え

2つのモードの切り替えは[3Dビュー]の左上にあるモードセレクターで行えます。また、TABキーを押す事でもモードが切り換わります。

オブジェクトモードと編集モードの切り替え

オブジェクトモードと編集モード時の選択方法

オブジェクトの選択や編集モード時の頂点、辺、面の選択方法について解説しています。

オブジェクト操作

オブジェクトを移動、回転、スケール変更、トランスフォーム(変形)について解説。また、アノテートによる注釈の書き込みやメジャーによるサイズを測る方法についても解説しています。

3Dビューポートのシェーディングモード

シェーディングモードの解説

モデリングの基礎知識

モデリングのベースとなるオブジェクトの種類やモデリングを行うための下準備、オブジェクトの各頂点や面の選択方法など、モデリングをスムーズに行うための基礎を記載します。

編集モードについて

Blenderの3DCG制作は、オブジェクトモードと編集モードの2つのモードが要となり、頻繁にモードの切り替えを行うことになります。

3Dビューポートのヘッダーにあるモード切替メニューから「編集モード」を選択するか。TABキーを押すと編集モードに切り替わります。

編集モード切り替え

メッシュモデリング

カーブモデリング

スカルプトモデリング

スカルプトモデリングとは粘土を扱うように造形するモデリング手法。ブラシを使った直感的な造形に向いているモデリング方法となります。

スカルプト画面構成及びブラシ一覧

スカルプト画面構成と各ブラシについて解説しています。

メッシュの分割方法

スカルプトによって生成される凹凸の精度はメッシュの分割数に依存するため、粗いメッシュは細分化する必要があります。細分化する方法は、サブディビジョンサーフェス、マルチレゾリューション、ダイナミックトポロジーの3つがあります。詳細は、こちらで解説しています。

マスクと面セット

マスクと面セットは、ブラシ効果を限定する機能です。詳細はこちらで解説しています。

3DCG用語集

用語集はこちら